前回のコラムにて、ウェブクライアント技術は、HTML5+CSS3に集約されていくという話をしました。
GoogleやAppleの戦略といった大きな話をしているはずなのに、HTML5+CSS3などというずいぶんと小さな技術の話を気にしているのだなという感覚を持たれた方もいるかもしれません。
先端技術をやっていられる方は、IPコア(Intellectual Property Core)やらH246の圧縮率を上げる技術やら、そういった先端技術の話が聞きたかったかもしれません。
しかしながら、そういう感覚を持つこと自体が、次の時代の潮流を読めていないということなのではないかと思うのです。
結論から言いましょう。
次の時代のメインプレイヤーは企業ではなく個人です。
サービス中心ということは、今までのように企業がニーズを決めて、物を開発して、宣伝して、売るというモデルは通用しなくなります。
物量で宣伝するという手法が通用しなくなり、ニッチ市場を相手にせざるを得なくなるため、スケールメリットを生かせるビジネスモデルの構築が難しくなってきます。
汎用品を扱うメーカーの製品開発においてはまだスケールメリットを生かせる場面があるように見えますが、世界中で生産力が高すぎるうえに、機能の部品化ブラックボックス化標準化が進み、すぐにコモディティ化し、PCのようになるでしょう。つまり、儲からないということです。
また、今は、トヨタのエンジンのように簡単に真似できないものもありますが、例えば電気自動車が主流になれば、モーターを載せてソフトで制御するだけですし、小さなベンチャー企業や個人にでも自動車の開発ができるようになるでしょう。技術の進化の流れは誰にでも扱える物へと着実に向かっています。
特許で真似できないようにしてきたビジネスモデルもあります。しかし特許の期限は20年ですし、この20年で新しく出てきたブレークスルー的な技術というものがないですから、このモデルはタイムオーバーで無力化します。また、多くの企業がオープン技術を触っている以上、ほとんどの技術を特許で守りきることは出来ないでしょう。特許の保護に固執すればするほどビジネスの機会を逸するジレンマに陥って最後は放棄することになるでしょう。
開発力といういう視点ではどうでしょう。例えば、ソフトの開発でいえば、ウイザード級のプログラマーになると通常のプログラマーの軽く100倍を超える生産性があり、しかも、その品質は100人の通常のプログラマーを集めて作ったものを凌駕します。そういう「出来る」人も、「出来ない」人の中にいると生産効率が著しく低下し、最悪人並み以下になります。ソフトの開発に関する基本的な考え方とか方法論とかの次元が高く「出来ない」人にあわせないといけなくなることで力を発揮できなくなるのです。大企業的な頭数を揃えるという考え方は競争力を落とすだけなのです。
以上のように、大企業であることメリットが生かせないのです。そして、逆に官僚化して硬直化して意思決定が遅いというデメリット面が際立ってきます。
グーグル、アマゾン、アップルなどは個人を法人と同じように扱っています。いやむしろ個人を優遇している感じもあります。
個人がソフトを開発し、個人が利用して、個人がブログ等で宣伝販売して、個人がサーバにソフトをインストールしたり外部システムのAPIを利用したり既製品を組み合わせたりしてサービスを提供するという流れが大きくなっており、彼らはその流れを助けて、その中で薄利を多く稼ごうというスタンスです。
しかし、このビジネスモデルの収益は預金の手数料のように、ものすごく大きくなっていくことでしょう。
そして、こういうグローバル企業がさらなる巨人になったときに、スケールメリットという観点から太刀打ちできる大企業が残っているでしょうか?
日本の大企業には、目先の利権に固執しないで、個人が主役のサービスを中心とする世界の大きな市場を戦ってほしいと思います。"Winner takes all"ですから模倣ではなく先駆者としてです。
また、日本の個人には、大企業に寄らば大樹の陰というスタンスではなく、いつでも自分で何かサービスを提供できるように世の中の流れをしっかり分析して、その中で周りの人たちにサービスが提供できるよう生涯学習をしてもらいたいと思います。
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