ターニングポイント

オバマ米大統領は16日、金融危機の原因の一つとされる金融派生商品(デリバティブ)取引について「経済全体を危機に陥れかねない」と述べ、規制強化が必要との考えを表明した。米議会で審議中の金融制度改革法案の早期採決に期待を示す一方、規制を警戒する金融界の議会工作を批判。「デリバティブ規制が盛り込まれていない法案は拒否する」と述べ、金融界との対決姿勢を鮮明にした。
[引用元] デリバティブ取引規制強化  米大統領(夕刊から)

今、アメリカではデリバティブ規制強化をすべきという強い世論があり、それに答える形で米国大統領がデリバティブ規制強化に動いています。

米証券取引委員会(SEC)は16日、米金融大手ゴールドマン・サックスを証券詐欺罪で告発した。SECは、ゴールドマンが、大手ヘッジファンド、ポールソン・アンド・カンパニーによる反対取引を開示せず、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連の金融商品を販売し、投資家を欺いたとしている。
[引用元] 米SEC、サブプライム関連でゴールドマン・サックスを告発ー詐欺行為を追及

デリバティブ規制の大統領発言にあわせて発表されたのがこのニュース。
ゴールドマンの仲間であるはずのSECがゴールドマンを告発というニュースを聞いて違和感を感じた人は多いと思いますが、デリバティブ規制強化を求める世論の流れを見ると、スケープゴートとしてゴールドマンがトカゲの尻尾切りにあうのではないかと勘ぐってしまいます。
実際、リーマンブラザーズが倒産したことで、公的資金が投入されたわけですし。

[参考] 米ゴールドマン、不動産ファンドがほぼ全資産失う=FT
また、今まで常勝だったゴールドマンが、投資に失敗したというニュースが流れたことにも、大きな流れの伏線であるのではないかというように感じを受けます。

[参考]
米ゴールドマン:トレーディング用技術情報流出で投資が無に帰す恐れ

以前発表されたゴールドマンのトレードソフトが解析されたというニュースも気になります。
というのもゴールドマンが常勝するのはゴールドマンが市場をコントロールすることで利益をあげていると考える人が多いからです。

また、前回の記事で、ゴールドマンサックスのレバレッジが457倍であることと(ちなみにデリバティブ残高は41.5兆ドル)、今期の決算は簿外資産のオンバランス化をする必要があり自己資本比率が低下することが問題になるということを書きました。
[参考] 14、15日は要注意かな

ゴールドマンの決算日は20日ですが、かなりこの決算が良くないとBIS規制に引っかかってしまう可能性がある気がします。

このように色々な背景を鑑みるとゴールドマンに関係した大きな動きがあるのではないかと勘ぐってしまいます。具体的にどんな動きがあると考えているのかはここでは書きませんけどね。

これと関係があるかはわかりませんが、
新100ドル札が21日に発行されるようですね。
色々と目が離せなくなる米国情勢です。

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14、15日は要注意かな

14日(米市場Open前)はJPモルガンの決算ですね。

金融機関のオンバランス化で気になるのは巨額なデリバティブ取引です。

[参考] 簿外資産のオンバランス化

JESSE'S CAFÉ AMÉRICAINによると、
JPモルガンのデリバティブ総額が78.5兆ドルで一位。
国家予算をも凌駕するその額の大きさにも驚愕しますが、原資産1.62兆ドルでレバレッジ48倍という内容にもびっくりさせられます。

決算で問題となるのは、オンバランス化にともなう自己資本比率の低下によりBIS規制にひっかかる可能性があるということだと思います。
もしかしたら、BIS規制を廃止するのかもしれませんが、まあ、フタを開けてみないとよくわかりません。

よりにもよって、一番デリバティブ総額の大きいJPモルガンがオンバランス後初の金融機関決算ということでとても気にかかる14日です。

まあ、ゴールドマンサックスなんてレバレッジ457倍ですから、こっちのほうがどーするの?という感じではありますが。。。

[4月17日追記]
JPモルガンは増益で乗り切ったみたいですね。
時価会計をやめた以上、増益に何の意味があるの?という気もしますが、まあ、言葉遊びみたいなものですね。
さて、高レバレッジのゴールドマンサックスは
ちょっとやそっとの増収くらいでは自己資本率の大幅低下は免れないと思うのですが。。。

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時代はサービス中心へ(4)

SIMロック解除の件もそうなのですがビジネスの前提が変わり、業界地図が大きく変わるということはよくあります。
それは法律の改正が契機になることも多いのですが、法律が変わるのは背景となる条件が変わるからであって、多くの場合、ビジネスの前提が変わる根本要因は技術の進歩です。

技術の進歩によって自社のビジネスモデルが崩れることを嫌う企業は、新しい技術が広まるのを阻害しようとすることが多いですが、最終的にはその流れを止めることができずに市場を取られることが多いです。
また、技術の進歩の方向性を読み違えた企業は、新しい流れに乗り遅れて新しいビジネスの機会を逃し、既存の顧客も逃すことも多いように思います。
特に、最近は技術の進歩が早いですからこのような動きは顕著になっており、技術の進歩の流れを見極めることが非常に重要になってきているのかと思います。

日本型の大企業の場合、流れを読み外すリスクを恐れるあまり、多くの技術に手を伸ばしすぎてリソースを浪費したり、しかも、手を広げているのにも関わらず流れを読み外すということが往々にしてあります。また、多くの技術開発を並行できるほどのリソースが無い小さな会社にとっては読み違いは死活問題です。
逆に成功している海外企業というのは、明確な技術的な戦略をもち、選択と集中というスタンスで挑んでいます。

では、技術の進歩の動きを読める企業と、読めない企業の差は何なのでしょうか?

・技術の進歩というのはユーザのニーズから生まれるものであるため、視線が「いいサービスを提供すること」に向いていない企業は技術の進歩に乗り遅れやすい

私は上記のように思うのです。
例えば、Google、Apple、Microsoftなどの大プレイヤーは新しい技術の進歩による新しいサービスとその中でのビジネスモデルを見据えて動いているのです。
市場をコントロールする彼らと同じような視点で見れば、彼らの動きの真意が読めるわけで、彼らに対抗するか、追随するか、スタンスは様々でしょうけど、もっと戦略的に動けると思うのです。

また、技術の進歩は、汎用化と特殊化を相互に繰り返していることを念頭に入れておく必要もあると思います。
大まかに言えば次のような流れです。
ある技術が標準化される。→その技術だけでは不便ということで、各サービスに合わせて色々改良を加えられる。→技術が細分化されすぎて各サービス間の連携などが大変になる。→細分化された技術を纏めた技術が標準化される。

なぜ、この話をしているのかといえば、Webクライアント技術は、近い将来HTML5+CSS3(+SVG)に統合されると考えているからです。(ただし、高いパフォーマンスが求められるものはネイティブコードが残る)

この新しい規格に統合する動きを無視していたのは、未だにブラウザシェアの大半を占めるInternet Explore(Microsoft社製)ですが、AppleのブラウザSafariを中心にChromeなどでリッチなUIを実現して、破竹な勢いなのをみて無視できなくなったのか、Internet Exploreもバージョン9からHTML5+CSS3をサポートするらしいですから、HTML5+CSS3は爆発的に普及することでしょう。

JavascriptやFlashは、多くの場合、Webの動的なユーザインターフェースを実現する補助的なスクリプト言語の役割でした。しかしCSS3の出現でその役割を終えます。というのは今まで何百行何千行ものスクリプトを書く必要があった処理が数行のプロパティ追加で済むようになるからです。また、簡単なUIアイテムの画像を作る職人の役割もCSS3が代替するようになります。
[関連]10 Examples Of Futuristic CSS3 Techniques

GoogleアプリがJavascript(Ajax)で書かれているように、Javascriptはその目的が変わってきています。Javascriptは、各ブラウザがパフォーマンス向上にしのぎを削ったことで格段に性能がよくなりましたし、HTML5で機能がずいぶん強化されます。HTML5のJavascriptだけで立派なWebアプリが書けるようになるのです。例えばリンク先のアプリはHTML5だけで書かれています。Javascriptはインターフェースを実現するものではなく、機能を実現するものになっているのです。

そうなると微妙な位置づけになるのがFlashです。Flashはブラウザのセキュリティ機能を介さずに直接データのやり取りをすることからセキュリティのリスクは全てAdobe任せになってしまいます(要はセキュリティがザルということ)し、Flashのデータはサーチエンジンでインデックス化できないし、Flashのデータをブラウザの管理化に置くことができない。ブラウザ開発やHTML5などのリッチなブラウザ表現や検索技術に力点を置いているGoogle、Appleなどの戦略からみればもはや邪魔な技術です。
また、html5やCSS3で容易にコンテンツが書ければコンテンツが充実してきます。
国内のほとんどの携帯電話ではjavascriptが使えないため、flashが結構使われていますが、iPhoneはjavascriptが使えます。
早い話が、この技術の変化の流れに対応できていない国内メーカーの携帯端末は海外勢に食われるということです。

サーバサイド技術に関しては混戦状態。いずれにせよ潮流が生まれてくることでしょうから、流れに乗り遅れないようしっかりと流れを見定めて動いていこうと思う今日この頃です。

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時代はサービス中心へ(3)

このシリーズも3回目になりましたが、この記事を書き始めるきっかけになったのはSIMロック解除のニュースでした。

[参考] SIMロック解除指針、6月末までに作成

SIMロック解除とは簡単に言えば携帯会社を介さずにユーザが色々な携帯を使いまわせるようになるということです。また、他の通信キャリア対応の携帯であっても使える可能性があるということです。

短期的なユーザの視点で言えば、ドコモとソフトバンクは通信方式が近いですから、ドコモでiPhoneを使うというようなことが可能になりますし、今までは使い道がなかった古い携帯が中古市場に出回るようになります。

キャリアの視点で言えば、各通信キャリアが自社に都合の良い規格を決めて、メーカーに規格に沿った携帯を出させることで高収益を上げるというビジネスモデルが終わったということです。
メーカーの視点で言えば、通信キャリアの規格に従うだけでそこそこの利益が上げられたビジネスモデルが終わったということです。

安くて多彩なケータイが提供され、通信料は下がり、コンテンツサービスはAmazon,Google,Appleが全てを提供することになると思います。
端末としての携帯電話はPCと同じようなコモディティになり、通信キャリアは消耗し、日本のメーカーやコンテンツプロバイダは絶滅するでしょう。
SIMロック解除--実現で何が変わる? 

結局のところこのようになるのでしょうね。

ただし、私はSIMロック解除に反対しているわけではありません。高スペックなハードを積んでいるのにろくな携帯アプリも書けない今までの日本の携帯電話が異常だったとも言えるので、単純にゆがみが解消されたという理解です。

ちなみに、技術的見地から言えば、Amazon、Google、Appleに対抗する手段はありますし、いずれその手段が主流となるでしょうけど、日本人がやると利権に潰されますし、いずれにせよ日本の通信キャリア、メーカー、コンテンツプロバイダには勝ち目はないでしょうから、今回は勝者について分析して、今後に役に立てていこうかと思います。

ここ数年の動きを見ると勝者には同じパターンがあります。
・様々なサービスの基盤となるサービスを抑えている点
・自社が強いサービスをとことん強化することでサービスを充実させている点
・そしてその強化したサービスをプログラマーや他のサービス提供者に簡単にそして最高の品質で使ってもらえるようにしている点
です。

インフラの充実でできることが増えてくれば、ニーズは多様化してきますしニッチ化してきます。
また、リアルから情報世界へ移行している過渡期ですから、技術の変化は激しく、最適なサービス形態というのもめまぐるしく変わっています。
このようなことから、大企業がサービス全体を囲い込むというやり方は通用しないわけで、下手に囲い込むとサービスの質の低下を招くのです。

しかしながら、どんなサービスであっても必ず必要になる普遍的なサービスというのはあり(例えば、商品購買、情報検索、広告、ユーザインターフェース、決済、運送など)、こういうところを抑えていれば強いわけです。
また、サービスの質というのは結局のところ、それを開発し提供する多くのデベロッパーに対して如何に魅力的な環境を用意したかによって決まっているわけですから、デベロッパーを優遇する会社は質の良いサービスが充実してくるわけです。

自社の利益を守るためにデベロッパーに色々な制約を課すなどは本末転倒で、短期的には通用するかもしれませんが、江戸時代に黒船が来航してパニックになったように、自分の利権の力が及ばない勢力が現れたときに木っ端微塵にやられるわけです。

結局のところ、様々な利用者、様々な開発者、既存の様々なサービスという全体構造を正確に把握した上で、ユーザが最高のサービスを得るために必要なサービスを提供するということが勝者になる条件なのではないでしょうか。

まあ、日本の場合は国内の既得権益に良いサービスの種を潰されて海外勢においしいところを持っていかれる状況がずっと続いていたりもするので、新しいことをやりたい人は、海外で活躍するとか、時代の潮目をみて行動するとか、官庁を味方につけるとか、世論を味方につけるとか、処世術のようなものも同時に身につけないといけないですけどね。

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時代はサービス中心へ(2)

さて前回、時代はサービスが中心になったということでソフト(もの)自体を売るというモデルが崩壊したことを述べました。

では、手っ取り早くサービスを提供するためにGPLを使ってガンガン開発すれば良いではないかという風に考える人も多いのですが、それにはいくつかの大きな落とし穴があります。

・既存のGPLライブラリやフレームワークの組み合わせだけでは独創性のあるサービスが生まれない。
・再利用性の高いフレームワークで動く付加価値の高い独創性のある機能を作りこんだ場合、公開すると簡単に流用されてしまい、提供したサービスはすぐに価格競争に晒されることになる。
  (開発したベンチャー会社がぱくった会社にデファクトスタンダードを奪われることがよくある。)
・オープンにすることで競合する大企業に関連特許を抑えられてサービスの提供ができなくなるリスクを負う。
・システムの弱点などが解析されてアタックを受けやすくなる。
・GPLのライセンスが曖昧だったり、ライセンスがバージョンアップしたりということがあるため、将来的に未知のリスクに晒される。(守秘義務のある他のライセンスとの整合がとれなくなるなど)
・将来GPLライセンスが非主流になった場合、GPLは足かせでしかなくなる。
  (例えば、GPLライセンスと組み合わせてはいけないライセンスが主流になる)

こういった色々な弊害があるため、マイクロソフト、アップルなどのIT界の巨人達ですらなるべくGPLを使わないようにして、また、重要なコードを公開しなかったりするわけです。
また、オープンソースが自由に使えるAndroidでは、3万アプリのうち1万アプリがスパムアプリだという報告もあります。オープンソースによる開発の敷居の低さが質の悪い開発者の大量の流入を許しアプリの質を低下させて良質なソフトを埋もれさせている現状もあるのです。
GPLが勝つかアンチGPLが勝つかはわかりませんから、GPLとは距離を置きたいですが、デファクトスタンダードをとるには勝負どころではスピード重視で一気に勝負をつけてしまう必要があります。
したがって、今が勝負どころというときにはGPLへの汚染も構わずスピード重視で一気に勝負をつけてしまう。
こういったメリハリのある戦略がサービス中心の戦いにおいて必要になるのかと思います。

ソフト開発という視点で言えば、サービスのコアとなる部分をGPLとは分離した状態で作りこんでおき、今が投入すべきタイミングというときにGPLに汚染されたシステムにそれを組み込んで
一気に勝負をつけるというやり方がサービス主体の時代に適した戦略になるのではないかと思います。

Appleなんてまさしくそういう戦略ですよね。

野間ソフト株式会社の代表取締役のブログです。

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